デリー高等裁判所、35年にわたる争いの末に「東芝」商標の所有権を認める

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デリー高等裁判所、35年にわたる争いの末に「東芝」商標の所有権を認める

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デリー高等裁判所は、日本の多国籍企業である株式会社東芝(Toshiba)とインド企業であるTosiba Appliances Co.社(Tosiba)との間で長年続いていた「Toshiba」の商標をめぐる法廷闘争は最終的な解決に至りました。この判決は、35年にわたる法廷闘争に終止符を打つものであり、同裁判所の歴史の中で最も長期化した知的財産をめぐる紛争の1つです。

デリー高等裁判所の判決

2024年8月16日に下された裁判所の判決により、株式会社東芝がインドにおける「Toshiba」の正当な所有者であることが明確に認定されました。この判決により、Tosiba Appliances Co.社は「Tosiba」マークの使用および同名称の製品販売が禁じられ、インド法人による商標権侵害とみなされたブランディングの継続が事実上禁止されました。

また、裁判所はTosiba社に対して150万ルピーの名目的損害賠償を命じました。この金額は、侵害の期間と影響を反映した最小限の補償額として意図されており、同時に将来の違反に対する抑止力としての役割も果たすものです。また、東芝は、2015年商事裁判所法(Commercial Courts Act, 2015)に基づき、訴訟費用を回収する権利も有しており、その請求期限は2024年9月16日に設定されています。

紛争の経緯

この紛争は、1989年2月、東芝が新聞広告を通じて、Tosiba Appliances Co.社が同社のヘアアイロンを含む電化製品に「Tosiba」という商標を使用していることを発見したことから始まりました。東芝の初期調査により、これらの製品は主に陸軍食堂の売店(Army Canteen Stores)で販売されており、一般市場では広く入手できないことが明らかになりました。東芝は、自社の長年にわたって築き上げてきたブランドへの潜在的な影響を懸念し、1989年4月にTosiba社に対して法的措置を通告しました。この通知では、「Toshiba」は世界的に認知された商標であり、響きが似ている「Tosiba」は、商標侵害になると強調しています。この通知では、Tosibaに対して、その商標の使用中止がようきゅうされました。

東芝は当初は和解する意思があることを示唆しましたが、交渉は失敗に終わり、1990年に東芝は差止命令を求めて正式に訴訟を提起しました。この訴訟は、長期にわたる複雑な訴訟手続きの始まりとなりました。

東芝の主張

東芝は、同社には「Toshiba」の商標に関する長年にわたる確立された権利があり、その歴史的ルーツに由来すると主張しました。Toshibaの起源は、芝浦製作所と東京電機が合併して東京芝浦電機株式会社が設立された1939年に遡ります。「Toshiba」の商標は、東京の「To」と芝浦の「Shiba」を組み合わせたものに由来しています。東芝は、インド市場に製品を投入する前から、1953年にはすでにインドで使用予定として商標登録していました。

東芝は、1951年には電力量計に関する技術支援の提供を行っていること、1984年~1989年にかけてさまざまな製品を輸出していることなど、インドにおける商業活動の証拠を提示しました。また、Toshiba Anand Batteries Ltd.とPunjab Anand Batteries Ltd.との商標ライセンス契約の詳細を説明し、蛍光灯、電池、白熱灯などの各種製品に言及しました。さらに、1963年~1989年までの東芝の年次報告書には、インドにおける広範な電子・電気製品の商業活動が示されています。同社は、全国に認定サービスセンターを保持しており、インド市場における長年のプレゼンスを示しています。

被告の立場

Tosiba社は、東芝がインド市場に参入する前に、独自に「Tosiba」マークを創作したと主張しました。Tosiba社は、1974年にN.K.スリ氏とD.P.スリ氏によって設立され、当初は合弁企業として運営され、後に非公開有限責任会社となりました。同創設者は、「Tosiba」マークは、家族のメンバーの愛称である「Toshi Bai」からインスピレーションを得たものであり、1975年以降、このマークは広く公然と使用されてきたと主張しました。

Tosiba社は、「Tosiba」の商標を第9類および第11類で登録申請しましたが、これらの申請は承認されませんでした。同社は、このマークを31年以上にわたって継続的に使用してきたことで、市場で高い認知度を獲得しており、そのことは数々の国内での受賞や広告への多額の投資によって証明されていると主張しました。Tosiba社の主張は、同社による商標の使用が東芝のインドでの商業活動に先行しているという前提に基づいています。

紛争の段階

訴訟は2つの明確な段階を経て展開しました。

第1段階(1992年~2006年)

Tosiba社は、この期間中に東芝はこのマークを十分に使用していなかったと主張し、商標登録原簿における東芝の商標登録に異議を申し立てました。この異議申し立てにより、東芝の登録から一部の製品が削除されることになり、本訴訟の遅延につながりました。この登録原簿に対する進行中の訴訟は、さまざまな手続き上の障害があり、この訴訟の長期化の一因となりました。

第2段階(2000年~2024年)

この段階では、証言予定であった東芝社員の退職や、被告による訴訟の長期化を狙ったさまざまな策略など、手続き上の問題により大幅な遅延が生じました。また、デリー高等裁判所の管轄区域の変更により、この訴訟は下級裁判所に移されましたが、東芝が訴訟の金額価値を調整したことにより、再び移管されました。

最終判決

判決において、裁判所は「Toshiba」マークの正当な所有者の確定や、東芝の商標登録から特定の製品を除外することの影響など、8つの広範な問題を評価しました。裁判所は、東芝が2,000件以上の国際登録とインド国内での30件の登録を含む、その所有に関する実質的な証拠を提出したと認定しました。注目すべき点は、Tosiba社は、東芝の「Toshiba」マークに対する所有権の主張に異議を唱えなかったことです。

裁判所は、「Toshiba」と「Tosiba」の視覚的および構造的な類似性を指摘し、7文字中6文字が同一であることを指摘しました。この類似性と、2つのマークが1文字しか異ならないという事実を併せて考えると、消費者の間で混乱が生じる可能性が高いと判断されました。裁判所は、1958年の商標法(Trademarks Act of 1958)に基づき、これらのマークは一見して類似しており、「Tosiba」マークは商品の出所に関して消費者を欺く可能性が高いと結論付けました。

裁判所は、1939年に制定された東芝のマークは、Tosiba社が類似マークを使用するよりも以前に制定されたものであることを再確認しました。したがって、東芝は1958年商標法第33条(b)項(Section 33(b) of the Trade and Merchandise Marks Act, 1958)に基づき、「Toshiba」商標の優先使用者に認定されました。また、裁判所は、東芝の商標登録における商品説明の記載漏れは、侵害の認定に影響しないことも明らかにしました。

この判決は、東芝のインドにおける「Toshiba」商標に対する長年にわたる権利を確固たるものとし、確立された知的財産権を侵害から保護することの重要性を強調するものです。

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