印日関係
印日関係は、6世紀の日本への仏教の普及から始まりました。1949年の第二次世界大戦後、インドのJawaharlal Nehru首相は東京の上野公園にインド象を一頭寄贈しています。1952年4月28日に両国は平和条約を締結して国交を開始します。この条約は第二次世界大戦後に日本が締結した最初の平和条約の一つです。 以来両国は互いに対する強固なサポートを育んで維持し、グローバルコミュニティにおける互いの立場を強化してきました。最近ではインドのNarendra Modi首相と日本の安倍晋三首相の主導の下、両国はそのつながりを強化し、 互いの重要性を認識しています。
インドの知的財産制度
インドの知的財産制度は、常に変化する知的財産情勢の要件を満たすことを目的としており、その管理において透明性、結果責任、そして効率性の強化を目指しています。インドの革新と開発の目標をサポートするために、活発でバランスの取れた知的財産精度の確立に向けて取り組んでいます。
2017~2018年 インドの知的財産年次報告書
2019年7月17日、インド特許意匠商標総局(以下「総局」)が同年の年次報告書を公表しました。総局は数年間にわたる一定した成長を示しています。本年のさまざまな知的財産権の全体出願数(3,50,546)は、前年と比較してほぼ横倍となっています(3,50,467)。2016~2017年からわずかに減少した商標を除き、特許、意匠、地理的表示および著作権の出願件数の記録に増加傾向が見られます。過去5年間の知的財産権出願件数の傾向は以下の通りです。
特許: 合計47,854件の特許出願があり、出願件数は前年と比較して5.3%増加。2017~2018年の国内の特許出願も、2016~2017年の29.2%と比較して32.5%増加しました。
商標: 全5か所の商標登録局で合計2,72,974件の商標登録が出願されました。この期間中は出願件数を上回る件数が審査され、審査の係属は1 か月以下に減少しているのに対し、商標登録出願件数は20.3%増加し、登録・却下・取り下げ・放棄された出願を含む最終処分は2016~2017年と比較して91.4%増えています。
意匠: 前年比15.9%アップの合計11,837件の意匠登録出願がありました。意匠登録申請の審査数は11,850件で、2017~2018年は2016~2017年と比較して0.75%とわずかに上昇。これに対して意匠登録件数は21.07%、意匠登録出願の処分は29.48%上昇しています。
著作権: 2017~2018年の期間中、合計17,841件の出願があり、 34,388件が審査されたのに対し、著作権(ROC)の登録件数は19,997でした。同年29,309件の新規相違レターが発行され、合計39,799件の出願が処理されました(著作品未受領の8,642件を含む)。
日本におけるインドでの知的財産出願
インドの知的財産制度の活性化における、日本の貢献度が最新の知的財産年次報告書に表れています。
• 特許: 日本は、PCT(特許協力条約)国内段階出願を申請している上位5カ国のうちの一つです。日本はアメリカ(8,619件)に近づく第2位の申請国で、3,537件出願しています。さらに、176件の三菱電機株式会社と、110件の本田技研工業株式会社の2社の日本企業は、上位10社の外国籍出願企業に名を連ねています。
• 商標: 日本はインドで国際商標登録のトップ10の申請者に含まれています。本報告書によると、272,974件の出願のうち、同年の外国申請者による出願数は25,307件でした。この合計出願数のうち、アメリカが3,779件、中国が1,794件、イギリスが613件、そして日本が608件出願しています。
• 意匠: 海外で発生した登録意匠の分野では、433件の日本は3番目に大きな申請者で、そのうち本田技研工業株式会社(50件)と三菱電機株式会社(41件)が主な外国企業となっています。さらに登録件数460と、2位にランクインしています。
印日間の戦略的知的財産協力 – 特許審査ハイウェイ
インドにおける日本の投資と事業拡大を推し進めるために2015年に日印間で協力覚書(MOC)が締結され、これは世界有数の市場、そしてイノベーション・研究・開発のハブとなる可能性があると考えられています。 さらに、両国の知的財産官庁間の知的財産権における緊密な協力を認識し、両国首相は2019会計年度第一四半期に、特定分野における試験的ベースでの二国間特許審査ハイウェイプログラムも同時に開始しました。
世界中の特許官庁に申請される特許出願数に著しい増加が見られています。この成長の主な起爆剤の一つがeコマース、技術、教育などの分野の国際化です。複数の国における同一特許出願によって各国特許官庁が歩みよって協力せざるを得ない状況となっています。多数の出願中特許と生産性向上の取り組みにより、各国の特許官庁は特許審査ハイウェイ(以下「PPH」と呼びます)という選択肢を取って協力するようになっています。
出願 |
2013-14 |
2014-15 |
2015-16 |
2016-17 |
2017-18 |
特許 |
42,951 |
42,763 |
46,904 |
45,444 |
47,854 |
意匠 |
8,533 |
9,327 |
11,108 |
10,213 |
11,837 |
商標 |
2,00,005 |
2,10,501 |
2,83,060 |
2,78,170 |
2,72,974 |
地理的表示 |
75 |
47 |
14 |
32 |
38 |
著作権 |
データ無し |
データ無し |
データ無し |
16,617 |
17,841 |
合計 |
2,51,564 |
2,62,638 |
3,55,898 |
3,50,467 |
3,50,546 |
2019年11月20日の内閣閣僚会議の承認
2019年11月20日にインドの内閣閣僚会議が、インドの特許総局(以下「IPO」と呼びます)による、さまざまな国と地域の特許当局と協力した、特許審査ハイウェイ(以下「PPH」と呼びます)プログラム導入案を承認しました。インドのPPHプログラムはまず日本の特許庁(以降「JPO」と呼びます)とIPOの間で、最初は3年という期間で開始されました。さらに、IPO・JPO間の特許審査ハイウェイを利用した早期審査依頼の申請者が従う手順に関する手順のガイドラインも公表されました。この二国間PPHパイロットプログラムには通常PPHとPPH MOTTINAがあります。 さらにIPOは インド特許総局(IPO)と日本の特許庁(JPO)間のPPHパイロットプログラムの正式手順ガイドラインも公表しており、 こちらからご覧いただけます。
IPOがPPHガイドラインChapter 5の下、Form5-1の受付を2020年3月9日から再開
インド特許総局(IPO)公式サイトで発表された通り 、2019年12月5日にPPHガイドラインChapter 5の下、IPO(IPOはOLE、JPOはOEE)でForm 5-1(PPH特許審査ハイウェイ向け情報)のの提出受付が開始されました。審査した依頼100件のうち56件がIPOによって認められ、申請者はForm 18Aによる早期審査申請が認められました。しかしPPHガイドラインに従って44件が非適用と判断されています。同様に、IPOは2020年3月9日からPPHガイドラインChapter 5の下、Form5-1の受付が再開しました。申請数は44件に制限されていたことをここで言及すべきでしょう。
IPOがPPHガイドラインChapter 5の下、Form5-1の受付を2020年8月10日から再開
最新情報 によると7 第二回目に受領した44件の審査の結果、ガイドラインに沿って35件がIPOに認められ、申請者はForm 18Aの早期審査の申請依頼が認められました。今回はPPHガイドラインに従ってまだ9件の申請に空きがあり、IPOは2020年8月10日からChapter 5のForm5-1の受付を再開します。
日印デジタル・パートナーシップ (IJDP) とスタートアップハブ8
印日両国の政府は、両国間の経済的協力の強化と、さらに適切な投資機会創造のためのイニシアティブにも取り組んでいます。
PPHの他にも両国はインドのスタートアップ企業の活性化と強化についても協力して取り組んでいます。「インド日本デジタルパートナーシップ(I-JDP)」が2018年10月のモディ首相の日本訪問中に始まり、S&T/ICTの協力対象範囲内の既存の協力分野だけでなく、新しいイニシアティブを強化し、より「デジタルICT技術」に重きが置かれています。これは印日間の「スタートアップハブ」の設立にも反映されています。
この一環として、2018年5月の世耕経済産業大臣のインド訪問中に日印スタートアップイニシアティブの共同声明の署名が行われました、この声明の下、日本市場と潜在的な日本投資家に向けてインドのスタートアップ企業を選定するための初めてのスタートアップハブが、ジェトロによってバンガロアに設立されました。その後、両国のスタートアップエコシステムをつなぐSDG(サステナブルな開発目標)にフォーカスしたイノベーションのコラボレーションに関して(Invest India下の)Startup-IndiaとJapan Innovation Network (JIN)の間で2018年6月に覚書署名が行われました。Invest Indiaはスタートアップハブのオンラインポータルもローンチしています。
結論
両国はPPHの導入が特許出願の所要時間の削減、係属の減少、さらに検索と特許出願審査の品質向上につながることを期待しています。 しかし、豊かな未来に向けた印日知的財産パートナーシップの本当の力を知ろうと、PPHの結果は厳しく監視されることになるでしょう。
Vikrant Rana
S.S. Rana & Co. マネージングパートナー&特許弁護士
Vikrant Ranaは、インド最高クラスの知的財産および法人法の法律事務所S.S. Rana & Co.のマネージングパートナーです。24年以上のビジネスの知識と経験で、Vikrantは数多くのFortune 500企業だけでなく、草の根的なイノベーターやスタートアップ企業に対しても、インドや世界中での知的財産の取得・保護・施行・活用に関して実践的な法的アドバイスを行っています。
Vikrantは日本知的財産協会(JIPA)会員で、2019年6月にはJIPA東京事務所に招かれてインドの知的財産権について講演し、インドにおける知的財産申請のより迅速な手続きに向けた戦略について強調し、さらにインドの複雑な知的財産の問題や展開について見解を示しました。インド工業連盟に招聘されて、同連盟代表団の一人として日本訪問にも参加しています。