雑誌『Managing Intellectual Property』の日本人バイヤー向けガイドブックは、海外市場に関心を持つ日本企業に役立つ資料です。今年の補足文書では、インド、中国、フィリピン、タイおよび韓国を含む数多くの地域を取り上げています。記事は、刻々と変化する知的財産の状況について鮮明なイメージを描き出すことを目的としています。
この補足文書で取り上げられているとりわけ刺激的かつ新たな進展は、日本およびインドが設立した特許審査ハイウェイ(PPH)でしょう。これにより、日本企業はインドでの特許出願を加速でき、またその逆も可能になります。この補足文書の記事によれば、インドでは、インド特許庁および知的財産審判委員会での手続きの効率が向上していることがわかります。記事は、インドがイノベーターに参加しやすい知的財産環境づくりを進めていることにも触れています。標準必須特許(SEP)およびコンピュータ関連の発明は、世界的にも重要なテーマであり、インドの裁判所でも耳目を集めています。
韓国に関する記事では、使用許諾契約における標準必須特許、および公平で合理的かつ非差別的な(FRAND)条件について議論しています。クアルコム社の標準必須特許ポリシー、サムスン社やアップル社など、さまざまな企業との使用許諾論争について掘り下げます。使用許諾に関しては、フィリピンにおける使用許諾契約に関する記事でも、非競争条項、利用規約、基本的な条項に関するルールを明確に説明しています。
中国市場に関心のある方のために、中国に関する記事においては、商標および特許出願分野における様式ならびに法律の改変を詳しく紹介しています。また、特許紛争および知的財産権訴訟における不実施主体(NPE)が果たす役割についても考察しています。中国における知的財産権の状況についてより明快な情報を求めている方には、大いに役立つでしょう。
タイに関する記事は、まさに今話題のトピックに関するものとなっています。タイで急増している偽造マスクビジネスについて、新型コロナウイルス感染症との関連で論じています。マスクをデザインしているブランドにとって、登録による商標保護が喫緊の課題となっています。保護しなければ、刑法に訴えなければならなくなるでしょう。
また、この補足文書では、中国、フランス、インド、メキシコおよび米国を含む数多くの地域でのIP Stars patent ranking(IPスターズ・特許ランキング)にも触れています。このランキングは綿密な調査に基づいたものであり、これらの表は日本の弁護士が、よく知らない国の法律事務所に支援を求める際の助けとなるものです。
この補足文書は、偽造マスク、標準必須特許、特許審査ハイウェイプログラムなどの多様な分野に関する重要な洞察を提供しています。したがって、世界のあらゆる地域で知的財産を活用しようとしているすべての日本企業にとって有益な情報が得られるものであると確信しています。